……



Five-seveN:
ハァ…全く。
何をどうしたらこんな状況になるのかしら?
PP90のお墨付きがあったから、私も信用してあなたたちに任務を任せたっていうのに。
5-7 戦闘


キアナ:
待ってよ!私たちだってこんなことになると思わなかったの!
だって、ゼーレが…こんな…

Five-seveN:
それで、彼女を「処理」してしまってもいいのかしら?

メイ:
57さん、すみません。ゼーレは、私たちの仲間なんですよ…

Five-seveN:
仲間?
そっちの世界だと、他人の敷地で殴り合いあらゆる物を壊すのが仲間だって言うの?

メイ:
ある意味で…間違ってないですが。

Five-seveN:
まるでテレビに出てくる救世主様ね。
この惨状を見てちょうだい、少なくないリソースを注ぎ込んだ基地がこんなボロボロになってしまったわ。指揮官がこれを見たら、膝から崩れ落ちるかも…
それで、いなくなったのは…ボーニャさんだけかしら?

キアナ:
ブローニャよ!

Five-seveN:
あぁ、東欧系ね。
要するに、PP90みたいなグルグルヘアーの娘でいいのね?

メイ:
ゼーレが連れ去って行きました、けど直ぐに取り返します。
そして、ゼーレも…無事に連れ戻します…

Five-seveN:
問題さえ片付けてくれれば、誰をどこに連れていこうと構わないわ。
それとそちらの世界から来た崩壊発生源も片付けて欲しいの、あれさえ無くなれば死士人形も完全に消えるから。

キアナ:
うん!必ずキレイに片付けるから!

Five-seveN:
目的は一致したみたいね。
これからグリフィン所属の人形として、あなた方の副官に就かせてもらうわ。ただ私にPP90と同じ対応を期待しないでちょうだい。

キアナ:
え?本当にいいの?

Five-seveN:
こっちの問題は解決したし、ヘリアンさんも承認してくれたの。
そして私たちの人形もそちらの世界でお世話になったみたいだから、対等なパートナーと思ってちょうだい。
それに、あなたたちを監視する人形も必要だしね、ともすると自爆ボタンを押す必要があるかもしれないから。

キアナ:
そんなものまであるの…

Five-seveN:
実際に使った人形もいるのよ。
それで、PP90とVectorの状況は?

メイ:
私もそれが心配なの、ゼーレは一人で戻ってきた…つまり、二人は…

2-4 姫子
姫子:
ちょうどグリフィンの信号を探知したわ。誰だか分からないけど、周囲の状況はあまりよくない。
誰か、彼女たちを迎えに行ける人はいる?

キアナ:
姫子!大丈夫?!

姫子:
大丈夫よ、ただNexusSystemのせいで体力を消耗しすぎたわ。次また戦闘するのは厳しいわね。

メイ:
じゃあ私が二人の捜索に行きます!姫子さんはここでキアナを助けて下さい。

キアナ:
なによ、まるで私が頼りないみたいな…
そういえば、テレサ学園長は?

テレサ:
あたくしはグリフィンのデータベースを修復してたところよ。
ゼーレ…あの娘、ここのデータベースを漁って何をする気だったの…?
けどこの痕跡を辿って今どこにいるか逆探知できたわ。

キアナ:
本当に?

テレサ:
この基地のすぐ近く、廃墟と化した遊園地ね。
ゼーレがブローニャを連れて何を企んでるか分からないけど、すぐに取り返せば大丈夫なはずよ!
そして、もう一つ問題があるわ。さっき観測した情報によると、世界を繋ぐ通路がもうすぐ閉じてしまう。

メイ:
え?それはどういうことです?
私たち…もう二度とあの世界に帰れないんですか?

テレサ:
いや…正確に言うとあと数日の猶予があるの。ただこの問題を素早く解決しないといけないってことよ!

キアナ:
「素早く解決しなさい」ですって?!学園長なら一人で全部解決できるでしょ!

テレサ:
そうじゃない、今ゼーレは大変な事件を引き起こしてしてる。あたくしが関わったら、最悪彼女を殺してしまうかもしれない。
だから、まずはあなたたちに任せるの。

キアナ:
はいはい、任されましたよ。じゃあすぐ始めよう!

Five-seveN:
本当にこのまま進めて大丈夫かしら?

キアナ:
え?何を…

Five-seveN:
こんな状況で私たち戦術人形を正面からぶつけるつもり?
基地を真っ二つにしたゼーレさん相手にどれだけの損害が出るか、説明するまでも無いでしょうけど…
その上、今ブローニャさんは彼女の手の中にある。この状況で救出できると考えてるのかしら?

キアナ:
じゃあ、私はどうすればいいのよ!

Five-seveN:
時間を稼いで欲しいの、メイさんがVectorたちを見つけるまで。

姫子:
…Five-seveNさん、あなた何かいい案を持ってるみたいね。

Five-seveN:
フフフッ、さすが姫子さんは軍人だけあって鋭いわね。
詳細な計画をすぐ纏めましょう!

キアナ:
えぇ?二人だけで何意気投合してるのよ…
分かったわ、二人の作戦に乗ってあげる!
私がはゼーレ相手に時間を稼ぐだけよ!




同時刻、廃遊園地内にて

ゼーレ&ブローニャ
ブローニャ:

ゼーレ。

ゼーレ:
ブローニャ姉、目が覚めましたか?
ゼーレの夢でも見てましたか?

ブローニャ:
ブローニャは長い間夢を見てません。
この事件、全部ゼーレが引き起こしたのですか?

ゼーレ:
はい、ゼーレは「母様」の声を聞きました。
そして再び目覚めたとき、私はもうハイペリオン号に乗っていました。

ブローニャ:
この世界の通路を通ったとき、「ゼーレ」が元のゼーレの体を奪った。

ゼーレ:
はい、弱くて無能で…皆から好かれなかったオリジナルのゼーレ。
ゼーレはあいつから体を取り戻しただけです。

ブローニャ:
あの時、ハイペリオン号を破壊したのは…

ゼーレ:
「母様」の提案でゼーレがやりました。
通路内で外部ハッチを開く、嵐の中ならそれだけで十分です。

ブローニャ:
…学園長は、この世界に崩壊因子は存在しないと言っていた。

ゼーレ:
当然です、この世界に崩壊が存在するわけありません。
混乱に乗じてゼーレが船から投下したんです。

ブローニャ:
全部…ブローニャのために?

ゼーレ:
はい、ブローニャ姉のため。そして全ては今…この時のためです。

ブローニャ:
ブローニャに…そんな価値は、ありません。

ゼーレ:
それはブローニャ姉が忘れてしまってるだけです。そう、余りにも多くのことを忘れてしまったから…
けど大丈夫よブローニャ姉!今日からゼーレと「永遠に」この世界で暮らすんだから…

ブローニャ:
この世界?

ゼーレ:
ここには崩壊も死士も「母様」もいない…
だから、ゼーレはもう誰も傷つけなくていい、ブローニャ姉も二度と傷つきません…
ここでなら、私たち二人で絶対幸せに過ごせます!

ブローニャ:
この世界は、私たちがいるべき場所ではありません。
ブローニャも、ゼーレも…

ゼーレ:
じゃあゼーレには何が残ってるんですか?!

ブローニャ:
……

ゼーレ:
ブローニャ姉も知ってるはずです…ゼーレは、何も持ってません…
今は、無能なゼーレを守る影さえ…
ゼーレが間違ってるんですか?ブローニャ姉も本当はそう思ってるんですか?ゼーレより、ハイベリオンの仲間が重要だと、そう思ってるんですか!?

ブローニャ:
ゼーレは、大切です。
けど二人だけでこの世界では生きていけません。

ゼーレ:
大丈夫です、ゼーレは準備しました!

…ゼーレはデータベースを取り出した。

ゼーレ:
グリフィンのデータベースに保管されてた人形の人格資料を全て保存しました。

ブローニャ:
どうしてそれを盗んだのですか?

ゼーレ:
もちろん、ブローニャ姉を喜ばせるためです!
すこし変えるだけで、ゼーレの人格はどんな人形の人格にも塗り替えられるんです。
どうですか?ブローニャ姉が好きだから、ゼーレはどんなことでもやれるんです!

ブローニャ:
ゼーレの言う「好き」とは、どういう意味ですか?

ゼーレ:
…ブローニャ姉、今のゼーレはどんな状態に見えます?

ブローニャ:
ゼーレは、とても不安定に見える。

ゼーレ:
そうです、これがゼーレの支払った対価です…
ゼーレは、ブローニャ姉のためなら何でもします。これがまさに「好き」ってことなんです。

ブローニャ:
でもブローニャはゼーレに何をしてあげたらいいか分からない。
ブローニャはゼーレに何もしてあげられない…

ゼーレ:
分かってます…全部分かってます…
全てゼーレのせい…ブローニャ姉が二度とあの時のように戻れないのも…
けど…ブローニャ姉が昔みたいにゼーレを好きになってくれるなら、ゼーレは何でもします!

ブローニャ:
ゼーレ…
これ以上あなたの精神が不安定になったら、あなたはまた消えてしまう。

ゼーレ:
はい…
今のゼーレにとって「永遠」はとても短いです…
だからブローニャ姉…ゼーレのそばに少しでも長くいてくれないのですか?それとも…


…ゼーレはブローニャの手を握った


ゼーレ:
ゼーレを今ここで消したいですか…?
もう一度…今度こそ永遠に…


…ブローニャはゼーレの手を放した


ブローニャ:
ブローニャはもう誰も傷つけたくありません。
もうすぐ、皆がブローニャを探しに来ます。

ゼーレ:
そんなこと、ブローニャ姉が心配する必要はありません。
ゼーレが絶対に守ります。

ブローニャ:
ゼーレ、皆を傷つけないで。

ゼーレ:
ごめんなさい、ブローニャ姉。
ゼーレは欲しいものは他人から奪わないと手に入れないの。


遊園地外から散発的な銃声が響いてくる。


ゼーレ:
しばらく休んで下さい。
次に目覚めたときには、世界はゼーレとブローニャ姉だけのものですよ。








…戦闘終了
…しかし、ゼーレは武器を下ろしただけだった
ゼーレ 第2形態
ゼーレ:
……
足りない…全く足りないわ…
キアナさん、こんな攻撃で私を殺せると思ってたんですか!?
本気を出して下さい!ゼーレは全く効いてませんよ!!

キアナ:
私は、「ゼーレ」を殺したくないの。

ゼーレ:
それは別のゼーレです…
あなたたちに着いて行き、ただ言いなりになるだけの弱いゼーレです!
ゼーレは、自分の大切にしてる物を守りたいだけです!!

キアナ:
仲間はあなた一人だけの物じゃない!
ブローニャも、その「ゼーレ」も誰の物でも無いの!!
だから、これ以上二人を傷つけるのはやめて!

ゼーレ:
ブローニャ姉を傷つけるのは、あなたたちです!崩壊が存在する世界そのものです!!
私たちがこの世界に残れば、ブローニャ姉もゼーレも二度と傷つきません!

キアナ:
崩壊は私たちの世界のルールよ、私たちはそのルールの中で生きてくしかないの。
既に起きた事件を無かったことには出来ない、ゼーレもブローニャも定められた過去から逃げられないのよ。

ゼーレ:

そう、どんな方法を使おうと、ゼーレとブローニャ姉は…絶対にあの時に戻ることは出来ない…


…ゼーレは再び武器を構えた


ゼーレ:
けど、ゼーレにとって今は過去を捨てる唯一のチャンスです…
ブローニャ姉に新しいゼーレを見せて、ブローニャ姉の望む姿を実現します…
そう、永遠…永遠に…

キアナ:
どんな世界にいようと、過去から逃れられないわよ!

ゼーレ:
ゼーレは逃げてない!
ただ…新たなスタートを切りたいだけです!

キアナ:
ごめん、ゼーレ…
また後で決着をつけよう!


……!



Five-seveN:
あなたたちは戦うときでさえ口が休まらないのね。
でもおかげで十分時間を稼ぐことが出来たわ。

姫子:
キアナはいつもあの調子なの、戦闘だけじゃ無くて、口喧嘩でも勝とうとする…子供みたいにね。
けどそのがむしゃらさが皆を引きつけていったの。
この子供らしさも魅力なのかもね。ただ、連れてくるのはいつも同性ばっかり…

Five-seveN:
まさかあなたからそんな愚痴が聞けるなんて…
それで姫子さん、ルートは把握できたかしら?

姫子:
遊園地の構造はほぼ把握したわ。
残りはメイの報告次第ね、本当にVectorとPP90が生きてると思う?

Five-seveN:
データを見るに、どちらも生存率はかなり低いわ。

姫子:
不安ね、大丈夫かしら。

Five-seveN:
けど…もし二人が一緒にいたなら…




続く