終わりだ・・・全てが終わってしまった・・・
私は、人類が団結すればこの難局を乗り越えられると信じていた・・・
しかしそれはただの欺瞞に過ぎなかったのだ・・・

-メーデ・ロクサットの音声記録-

無題




2030/1/7 15:17
北蘭島事件発生
北蘭島遺跡爆発と共に大量の崩壊液が成層圏まで上昇、同時に崩壊液格納容器が半径数千キロに渡って放出された。
上海周辺都市は爆発によって壊滅。爆発から1時間以内に約4億人が亡くなり、最終的に中国だけで8.7億人が死亡。中国政府は北京から西安へ政府機能を移転、孤立無援の中難民収容を進めることとなる。

・3/3:
第2次朝鮮戦争開戦

朝鮮半島は崩壊液の直撃を受け、事件直後に1000万人が死亡。2月時点での生存者は韓国で110万人、北朝鮮で500万人。
この状況下でアメリカは北朝鮮に対し、支援と引き換えに米軍部隊の駐留を要求。疑心暗鬼に陥った北朝鮮は3/3にソウル安全区を攻撃、第2次朝鮮戦争が始まった。
ソウル安全区は壊滅、避難民は全員死亡。

・3/16:
朝鮮半島にて「ハンマー計画」が実施される


・4/4:
東京安全区の収容者が1200万人を越える

日本列島は西日本が大きな打撃を受ける一方、東日本の汚染は比較的少なかった。
日本政府は汚染の無い北海道へ政府機能を移転、国連遺跡部門も各地に安全区を建設し、事件後も完全に治安を保っていた。
しかし・・・

・5/10:
北海道への難民収容が開始される

難民受け入れに加え米軍基地の大量設営も重なり、道内の生活可能エリアが大幅に縮小。難民受け入れ反対派が勢力を増していく。

・5/24:
北海道政府にてクーデター発生、難民受け入れ停止を宣言

米軍の支援を受けた難民受け入れ反対派がクーデターを実施。25日には青函トンネルが爆破され、米軍第3艦隊によって津軽海峡も封鎖される。
本土に取り残された難民、約1億2000万人。

・6月:
名古屋にて「ELID完全免疫体」が保護される

本土放棄後も日本に残留していたメーデ・ロクサットら遺跡部門がELIDに対し完全な免疫を持つ少女を保護。名前は「川崎和紗」
遺跡部門は彼女を連れ、新潟沖からロシア軍原潜を使用し日本を脱出する計画を考案。

・6/19~:
国連遺跡部門が日本を脱出

暴徒による襲撃で護衛していた自衛隊が壊滅、「完全免疫体」が重傷を負い後に自殺したものの、メーデ・ロクサットを始めとした少数が列島脱出に成功。その後モスクワでミハイル将軍やゲルリンスキーと対面する。

・7月:
ロシアにてボリシェヴィキの動きが活発になる

崩壊液による汚染を受けた極東地域では混乱に乗じて共産系勢力の動きが活発化。
7月時点で極東は彼らの制御下に落ちる。

・8月:
北米西部が汚染される

太平洋に落下した崩壊液格納容器が海流に乗って北米大陸に漂着。アンカレッジ~サンディエゴまでの沿岸都市が壊滅。
さらにいくつかの格納容器は内陸部へ運ばれ、無理矢理分解されたため被害が拡大。ソルトレイクシティーでは北蘭島と同規模の汚染エリアが発生する。

・12月:
米政府、西部アメリカを放棄

ウィニペグ-ポートアーサー間に防壁を築き、西海岸の生存者を隔離する案が成立。



2031:
・各国で排外主義政権が成立

欧米諸国はアフリカを再植民地化、一部国家は崩壊技術の再研究を始める。

・ウクライナにて鉄血工造が設立される

・第2次ロシア革命勃発、ロシア連邦が崩壊し「新ソ連」が誕生
北蘭島事件後有効な対策を何一つ打ち出せないロシア政府に対し、反政府運動が立て続けに発生。
新ソ連共産党も加担したこの内戦はロシア全土に広がっていった。
8月、ゲルリンスキー率いる一派がFSBを無血占領。




2032:
・ミンスクにてロシア連邦軍壊滅

ミンスク遺跡に集結した連邦軍残存戦力は遺跡内部の「バラクーダノード」を爆破しようと試みるも失敗。カーター率いる新ソ連軍によって壊滅した。
カーターはここでOGASを発見する。

・新ソ連とアメリカの交渉が決裂、第2次冷戦が始まる

・8/22:タシュケントにて「アンジェリカ」生誕



2033:
・1/15:メーデ・ロクサットが死亡

北蘭島事件後、常に最前線で活動したロクサットの死は世界に大きな衝撃を与えた。
彼の掲げた第3次大戦勃発の予想、そして世界統一政府構想は後に「ロクサット主義」として纏められいく。

・4月:国連遺跡部門が解体される
遺跡部門職員の大半は、南極遺跡で選ばれし人類と文明を保存する「ビーコン計画」に参加。
しかし一部職員はそれを人類に対する裏切りと非難、ロクサットの教義に基づいた世界統一政府を実現するため「プロメテウス計画」を推進する。

・「シベリアライフライン工程」始動
新ソ連政府は汚染エリアに取り残された重工業施設を復旧させることに決定。
人の立ち入れない箇所で作業をするため、人型ロボット開発が加速していく。


2035:
・オーロラ事件発生
北欧軍需産業が崩壊液圧縮試験に失敗、第2の北蘭島事件と呼べるほどの大爆発を引き起こす。
スカンジナビア半島は壊滅、バルト海からアドリア海に至る広範囲が汚染され欧州の混乱が加速する。



2039:
・第2次アルジェリア内戦勃発
以降何年にもわたり、アルジェリアでは欧州・新ソ連による代理戦争が繰り広げられる。



2043:
・ウクライナ内戦勃発

・ウクライナにてI.O.P設立の準備が進む



2044:
・ドイツ内戦勃発

新ソ連と欧州連合が同時に内戦へ介入、両者の対立はピークに達する。




2045/3/2:
第3次世界大戦勃発






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そうです、我々は来たるべき第3次世界大戦の被害を最小限に抑えるため、ある国だけをサポートしなければなりません。
多くの命が消えていくでしょう、しかしこれは必要な犠牲なのです。
皆さん、我らが理想の為に殉死していく同士へ、祈りましょう。

「人類文明に新たな火種を与えるために!」
「ロクサット先生の理想を実現するために!」
「我らの手で、世界の輝きを更新せよ!」

-2040年,「プロメテウス計画」会議議事録-



続く・・・