・・・同時刻、放棄された地下鉄遺構内部
・・・Vectorとゼーレは暗闇の中、僅かな明かりを頼りに進んでいた

Vector&ぜーれ




ゼーレ:
・・・まだですか?

Vector:
シッ!
しずかに・・・

ゼーレ:
ご、ごめん・・・なさい・・・
だけどここは暗くて、ちょっと怖い・・・

Vector:
・・・私の手を握っていいです。

ゼーレ:
けど、Vectorさん・・・銃を持って・・・

Vector:
えっと・・・じゃあ、スカートの裾を握って。

ゼーレ:
スカート・・・?Vectorさんのスカートは、ちょっと短いね。

Vector:
はい、それは戦闘用のスカートなので。
あと私のそばになるべく近よって下さい。

ゼーレ:
分かりました。
大丈夫です・・・ゼーレは、まだ我慢できます。

Vector:
申し訳ありません、私は戦闘用人形なので社交性が備わってません。
それに、とても面倒な性格です。

ゼーレ:
そんなことない・・・ゼーレ、Vectoさんのことは嫌いじゃないです・・・!

Vector:
ありがとうございます。心配しないで下さい、私には任務をやり遂げる責務があります。
任務だけは、私はしっかり達成しますから。

ゼーレ:
そうなの・・・ゼーレ、とても安心しました。
もうすぐ着きそうですか?

Vector:
おそらくは。ただ、私にも正確な距離は分かりません。
地下だと私たちの通信は遮断され、拠点の正確な位置が把握できないのです。

ゼーレ:
どうして・・・地下を通るんですか?

Vector:
死士人形たちの徘徊エリアを避けるためです。
さっきから地上の死士達が暴走を始めており、とても危険です。
多分・・・敵のリーダーをPP90たちが倒したのね・・・

ゼーレ:
敵の・・・リーダー?

Vector:
私たちの敵です。ゼーレさんとは関係ありません。

ゼーレ:
けど・・・死士は、私たちの世界にいたものです。
ゼーレ・・・そして皆がこの世界に来たのが原因なら、私たちにも関係があります。

Vector:
・・・・・・
そうね・・・
1度関係が生じた者同士、その繋がりは2度と外すことが出来ないのかもしれない・・・

ゼーレ:
え?

Vector:
ただの独り言です。気にしないで下さい。
そういえば、ブローニャさんはゼーレさんの友人ですか?

ゼーレ:
ブローニャ姉とゼーレは・・・親友です。

Vector:
ケンカをしてしまった時、いつもどうしてるのですか?

ゼーレ:
ブローニャ姉はいつも正しいし、間違えることなんてないです。
間違ってるのは、いつもゼーレの方だから・・・

Vector:
いつも、ですか。

ゼーレ:
待って・・・・・・
こ、この音は何!Vectorさん!

・・・突如として背後から低いうなり声が聞こえてきた

Vector:
こいつら・・・クソッ・・・

・・・暗がりの中から多数の死士が迫ってくる

Vector:
死士人形がどうしてこんな所まで!

ゼーレ:
Vectorさん、ゼーレ・・・怖い・・・!

Vector:
怖がらないで!この程度、私1人で何とかできるわ。
私の後ろに隠れて、早く!

・・・ダダダッ!
・・・Vectorは最前方の敵を正確に狙いつつ後退していく

Vector:

まるで私たちの存在を把握してたみたい・・・
ゼーレ、気を強く持って!別の人格に飲み込まれないで!

ゼーレ:
けど・・・もう1人の私なら、ゼーレもあいつらを倒す事が出来ます!

・・・Vectorはゼーレの肩を抱きよせた。

Vector:
友達と約束したの、絶対無事に戻るって。
私を信じて、絶対にやり遂げるから。

ゼーレ:
・・・・・・分かりました。
ゼーレ・・・何とか耐えて見せます!

・・・ダダダッ!

Vector:

・・・本当に最高の1日。
かつての日常に戻るため、一体どれだけ苦労を重ねないといけないの・・・?
それとも・・・もう2度と、あの頃には戻れないのかもね・・・



2-2 終