映像を調べた結果、1人のメイド人形を捜索対象としました。しかし、彼女を追っていたのはわたしたちだけでは無かった…
19:10 ベオグラード居住区の一角にて
RO:
SOP2、どうだった?
SOP:
人形の視覚情報を200体分集めてきたよ…最後の最後でメイドさんを見つけた…
RO:
お疲れ様、SOP2。
SOP:
うぅ…何が辛いってこの任務を進めるのに色々な…そう、ショッキングな映像を見なきゃだったんだよ…
RO:
まあ…民生用人形の視覚情報を集めたからね…それで、分析結果は?
SOP:
ここ1時間以内のメイド人形の位置情報について情報を集めてきたよ。一緒に調べてみよう。
RO:
よし、情報を同期させて。これで彼女の行動パターンと移動経路を推測できるわ。
RO:
…見て、あの赤い車の脇にいる人形、探してるメイドじゃない?
SOP:
間違いない、次の映像を見てみよう。
SOP:
移動してるみたいだけど…行き先がターゲットのアジトかは分からないね。
RO:
ターゲットが偵察訓練を受けているなら、人形をまっすぐアジトに戻すと思えない。
SOP:
大丈夫、彼女の行動パターンを推測して追跡すれば、いつかはボロを出すはずだよ。
5分後
SOP:
RO、映像を見た?
RO:
うん、おかしいわ。
SOP:
見間違いじゃなきゃ、あそこにまた赤い車が駐車してるけど…
RO:
見間違いじゃ無い、これは最初に彼女を見つけたのと同じ場所よ。
RO:
あの人形、無作為に移動してるように見えて実際は周辺をひたすら歩き続けてたのよ。
SOP:
どうして?なんでこんなコマンドを実行してたのかな?
RO:
わたしの経験上、こんな行動をする状況は1つしかない…
RO:
彼女は何者かに追跡されてることに気付いたのよ。けどターゲットに連絡したら信号を辿られる可能性があるし、街区から離れたら人気の無いところで捕まるかもしれない。
RO:
追跡を撒こうとしたけど、相手も逃げ道を塞いでる。だから突破口を見つけるためにここをうろついてるのよ。
SOP:
わたしたちにもう気付いたの?あり得ないよ、確かにさっきまで映像を集めてたけど、記録は全部1時間前のやつだし…
RO:
そう、わたしたちはまだ気付かれてないはず。つまり…他にも追跡者がいる。
SOP:
え?メイド人形を追跡してる人が他にもいるの?
RO:
可能性は高いわ、情報が欲しいのはわたしたちだけじゃ無いだろうし…少なくとも味方では無いと思う。
SOP:
誰でもいいけど、彼女を渡すわけにはいかないね!
RO:
そうね、まずは追跡者の位置を特定しましょう、奴らはまだこちらに気付いてないはずよ。
SOP:
ふっふーん、じゃあROにヒントをあげるね。
RO:
?どうしたの?
SOP:
周りの人形にバレないよう、こっそり公共ネットワークをハッキングしたの。これで視覚情報の範囲が広がるし、近くに不審者がいないか確認できるよ。
RO:
追跡者の場所は…まずは目視で奴らを探すしかないかしら。
SOP:
見て、左の消火栓とホームレスの間、コートを着て携帯ゲームをやってるあの人…
RO:
うん、あれがどうしたの?
SOP:
動きがなんかぎこちない。
RO:
そうね…人形は人間と違って動作に若干の硬直が発生するわ。あれは偽装した人形かもしれない。
SOP:
でしょ?あいつこの通りをずっと歩いてるから、ぱっと見普通の人形に見えるよ。だけど行動をトレースすると、メイド人形と常に一定距離を保ってるんだ。
RO:
SOP2、わたしの想像以上よ…こいつを追跡できる?
SOP2:
ふっふーん、わたしの感覚は鋭いからね。追跡は得意中の得意だよ!
RO:
あなた、敵を追い詰めるのは得意よね。だけどそれは確かなの?あいつのスピードじゃ、すぐメイドに逃げられるわ。
SOP:
多分、あいつは急ぐ必要なんて無いんだよ。
RO:
…そうか、追跡者は一人じゃ無い、複数人で網を張ってるんだ。少しずつ包囲網を狭めて、最終的に捕らえるつもりよ。
SOP:
古臭いけど有効な方法だね。そいつらを一人ずつ見つけていこうか?
RO:
いや、それじゃあ時間がかかるし逃げられてしまう。
SOP:
それじゃあ…
SOP:
右手の建物4階から外を偵察してる奴がいる。ここから見えないけど、微弱な信号を感知できるよ。
SOP:
こいつが敵の指揮人形かもしれない…わたしはハッキングが得意じゃ無いから、RO、バレないようにあいつを乗っ取れないかな?
RO:
大丈夫よ。そいつをハッキングして信号を逆探知してみるわ。あなたはメイドを見張ってて。
SOP:
見張ってるだけじゃ不安だよ。外の奴が動き出したら、メイド人形を助けられない。
RO:
だけど、今動くのは危険すぎる…
SOP:
わたし、無関係な人形のふりをしてこっそり彼女についてくよ。ROがチャンスを作ったら、包囲網を突破できるよう行動する。
RO:
うん、できたらさっきの広場に連れて行って。人が多ければ奴らも強硬手段を取りづらいだろうから。
RO:
人混みに紛れ込めば、追跡も撒けるはず…問題は、彼女がわたしたちを信用するかだけど…
SOP:
大丈夫大丈夫!一目見ればわたしたちが正義の味方だって分かってくれるよ!
RO:
…本当にそうかしら…
SOP2はその場を離れ、密かにメイドを尾行した
ROは電子戦モジュールを展開、周囲の景色が電子空間へと更新されていく
RO:
まず最初に尾行してる奴を覗いてみよう。
ROが目標の信号を捕らえた
追跡者:
こちら23号機、目標は追跡範囲から離脱、しかし依然として街区に留まっています。計画修正の必要を問う。
RO:
この信号、どこかで…
RO:
待って、こいつは!
RO:
クソ…
RO:
どうして…一度ならず、二度までも此方の前に出てくるなんて。
RO:
これは偶然なの…いや、ありえない…ターゲットはわたしたち?それとも…
追跡者:
命令受領。引き続き観察を続け、目標が7回同一行動を行った後、作戦を変更します。
RO:
考えてる時間は無い、何としても阻止しないと…
RO:
追跡してる人形に過負荷を与えてダウンさせることはできる。だけど外部と通信してる以上、遠隔で復旧信号を送られたらすぐ再起動してしまう。
RO:
じゃあ完全に破壊するしか・・・?ダメだ、わたしたちの存在がバレて強硬手段を取られる可能性が高い。
(通信ノイズ)
追跡者:
…?報告…こちら…
(更にノイズが強くなる)
追跡者:
異常無し、全て正常。
RO:
これだ!
RO:
SOP2、聞こえる!?
SOP:
何が起きたの?
RO:
今敵のネットワーク第2層までハッキングした、こいつらあの白い人形どもよ!
RO:
敵の数が想定より多い、正面からやり合っても勝ち目が無いわ。
RO:
だからこれから包囲網を作ってる人形の何体かを行動不能にする。メイドの反応が素早ければその隙に脱出できるはずよ。
SOP:
分かった、メイドが脱出するときに敵の襲撃から守ればいいんだね?
RO:
そうよ、わたしが全ての敵信号を探して過負荷を与えるバックドアを作るから。脱出を始めたタイミングで追跡してくる人形を順番にダウンさせていくわ、奴らが気付いたときにはもう遅い。
SOP:
了解!危険地帯を抜けたらすぐにメイド人形を確保するよ、聞きたいことは山のようにあるんだから!
RO:
さあ、行動開始です!
戦闘終了
RO:
これで、スパイごっこは終わりよ。
RO:
もう逃がさない!
ピピッ

追跡者:
…?報告…これは…
ピーーーー!
RO:
寝てなさい、永遠にね。
RO:
こいつのマインドマップを調べれば、Nyotoについて調べられるかも…
SOP:
RO!何してるの、早く起きて!メイドが逃げ出した!
RO:
何ですって?
ROは急いで現実世界に戻った
SOP:
メイド人形が突然走り出して、別ルートに向かっているよ!
RO:
…彼女も追跡者の信号が消えたことに気付いたのね、だから逃走を始めた。
RO:
クソ、想定より動きが速い…SOP2、何とか追いつけそう?
SOP:
大丈夫!けど、わたしじゃ説得できるか不安だからROも早く来て!
同一時刻
メイド:
…速く
メイド:
もっと速く!!
メイド:
追跡者の信号が全て消えている。なんで、どうしていきなり…
メイド:
いや、そんなことより今がチャンスよ。すぐにはハウスに戻れないけど、できるだけ遠くへ逃げ…
メイド:
ムグゥ!
メイドが曲がる瞬間、何者かが彼女を捕らえた
SOP:
捕まえた~
メイド:
ムゥゥ!ムゥゥゥゥゥ!
RO:
ごめんなさい、彼女、いつもそんな感じなの。
RO:
SOP2、口から手を離して。いい、叫んだり、助けを呼んだりしないで下さいね。
メイド:
(怯えきった表情で頷く)
RO:
この写真の人を知ってる?
メイド:
わたし…知りません…
SOP:
とぼけないで、あなたが何をしてたか知ってるんだから。
SOP:
それにわたしたちがいなかったら、今頃あいつらに捕まってたよ。
メイド:
え?わたしが捕まっていた?一体何を言ってるの…
SOP:
とぼけるのもいい加減にしてよ!あんた1人で逃げ切れたと思ってるの!
メイド:
その…何か誤解されてませんか……私は…本当に、何も知りません…
RO:
…わたしたちはハッキング中に奴らの報告を聞きました。
RO:
もしわたしたちがいなかったら、今頃あなたは奴らに取り囲まれてるでしょう。
RO:
あいつらは手段を選ばない、目的遂行のためなら無差別攻撃も平気でやります。そして、あなたとこの人を絶対に探し出す。
RO:
あなたたちはとても危険な状態です。これ以上隠れていた場合、わたしたちでは保護できません。
メイド:
…
RO:
(目つきが変わった…!)
RO:
SOP2!
SOP:
!!
メイド人形が腕から仕込みナイフを出し切りつけた。ROは寸前でそれを回避、ほぼ同時にSOP2が腕をつかみメイドを壁に押しつけた
メイド:
っ!
RO:
どれほど改造しようと、基本性能の差は埋められないわ。
SOP:
民生人形が16LAB製の人形に敵うわけ無い。
メイド:
離しなさい!離せ!
RO:
申し訳無いけど、このまま話をさせてもらうわ。これもあなたを守るためよ。
メイド:
…私を守る?この街で私に敵う人形なんてほとんどいないわ!
メイド:
それなのに化け物みたいな力を持つ人形が突然現れて、しかも「保護する」ですって?!
RO:
もしわたしたちが敵なら、あなたはもうスクラップにされてるわ。
メイド:
じゃあ、敵じゃないことをどう証明するつもり?
RO:
わたしは悪人じゃないし、あなたを傷つけるつもりも無い。
RO:
わたしたちはPMCグリフィンのエリート作戦人形として、ある人物を追ってるの。この写真に写ってる人が情報を持ってると聞いたわ。
RO:
これまでの動きから、あなたがこの人を知ってるのは確実みたいね。
メイド:
グリフィン…?
RO:
グリフィンについて、何か知ってるの?
メイド:
「グリフィン」という名前は聞いたことがある…あなたたちが探してる人の名前は…?
RO:
アンジ、アンジェリカ、この名前に聞き覚えは?
メイド:
アンジェリカ…わたしは「アンジェリカ」を探してる人がいたら、信用しても良いと命令を受けています。
SOP:
それ、それだよ!それがわたしたちだよ!
メイド:
が、あなたたちが偽称してないとどう証明するのです。
RO:
偽物ならば、強制的にマインドマップをハッキングして情報を引き出すわ。そうせずに会話で情報を聞いてるのが何よりの証拠であり…善意よ。
メイド:
善意?わたしを壁に押しつけておきながらね。
RO:
あなたが情報さえくれれば、わたしたちは全力で助けるわ。
RO:
写真の人はとても危険な状況のはず、彼の正確な位置さえ把握できれば、こちらで安全を確保できる。
RO:
これは指揮官の情報コードよ。私の接続ポートを解放したから、ネットワーク第2層を介して全ての情報を確認していい。
メイド:
分かりました…あなたを信じます。けど今は時間が無い、情報の確認は後で行います。
メイド:
写真の人は、確かに危険な状況です。まずわたしを安全な場所まで逃がして下さい、そうしたら彼の隠れ家を教えます。
RO:
分かりました、けどまずその人の居場所を教えて。万一危険な状態になってもすぐ対応できるようしたいから。
メイド:
ええ、教えます…その前に壁から離して貰えませんか?このままだと話しにくいので。
RO:
SOP2、離してあげて。
メイド:
!!
SOP:
うわ!?
RO:
あ!!
SOP2が手を離した瞬間、メイドはROを蹴り飛ばし猛スピードで逃げ出した
RO:
クソ!最初から逃げるつもりだったのか!SOP2!追いかけて!
SOP:
あいつ早すぎるよ!広場まで逃げられたら追跡は無理だ…撃っていい!?
RO:
だめ…リスクが大きすぎる!
SOP:
けどさ!あ???
RO:
どうしたの…何が起きたの?
……
猛スピードで走るメイド人形だったが、突如として見えない何かに足を取られ、勢いで何度も転がりながら倒れた
SOP:
…RO、これは…
RO:
まずいわ…イヤな予感がする…
11-3 終
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