ターゲット捜索任務遂行のため、私たちは都市内部に対し密かにハッキングを仕掛けた。

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18:10 ベオグラード市街の広場一角にて

SOP:
RO、都市の力を借りるってどういうこと…監視カメラをハッキングするってこと???
SOP:
何を言うかと思ったら、結構普通の方法だね…
RO:
普通、というのは安定した方法でもあるのよ。
RO:
グリーンゾーンの都市保安レベルはかなり高いわ、カメラも大量に設置されてるから捜索範囲もかなり広げられる。
RO:
以前法務関係任務を遂行したときも、似たシステムを同期させたことがあるわ。対象は都市そのもじゃなかったけど、システムの内部構造はほぼ同じはず、新しいモジュールを使えばバレずに情報を抜き取れるはずよ。
SOP:
それでも…隠れながら作業をするべきじゃ無いかな?こんな広場でハッキングをするのはどうかと思うよ。
RO:
ここは最も多くのネットワークにアクセスできる場所なの。ハッキングは長時間できないし可能な限り安定した信号も欲しいから、この場所が最適なのよ。
RO:
ハッキング中、私の意識はネットワーク第2層に行ってしまうから。そこで1週間分の監視カメラ記録を全て詳細に記憶してくる。
RO:
外の状況はあなた頼りになるわ。なるべく地味に、民間人と距離を取って面倒ごとを起こさないようにね。分かった?
SOP:
うん!今広場には座ってる人形2人、あとは電子ペルシャ猫3匹と柴犬1匹がケンカしてるだけだね。鉄血も白い奴らもいないし、私もおとなしくしてるねー。
RO:
うん…お願いね、そのうち忙しくなると思うけど…
RO:
わたしがハッキングを仕掛けてるなんて、誰も知らないだろうから…
SOP:
ROは電子戦をお願い、わたしは周りを警戒してるね。

RO635は電子戦モジュールを起動、ハッキングを開始した

RO:
私の意識が…電子の海に落ちていく…

周囲の世界が更新されていく

RO:
このまま世界の反対側まで落ちていきそうね。
RO:
ああ…アリス、アリス、あなたは一体誰なのですか?

ドン!
ROの意識は突然地面に打ち付けられた


RO:
OK、着地成功。
RO:
けど…次の仕事は少し手間取りそうね。

??:
警告、警告

攻性防壁が接近してきた

??:
ここは封鎖エリアです、侵入者を発見、排除します

だだだっ
ROの一撃が敵に命中した


RO:
わたしがここにいる理由をご存じで無い?

ROは注意深く周囲を確認した

RO:

こいつらは一般的なファイアーウォールによって生み出された電子戦用の攻性防壁です。
RO:
視覚化するのは困難なので、私の方で以前遭遇した敵のイメージに置き換えています。
RO:
データ内へ侵入する前にまず退路を確保、その後必要に応じて敵を撃破しながら、迅速にデータを探す必要があります。

大量の攻性防壁が来たため、ROは素早く自身の信号を偽装した

RO:
よし…任務遂行の準備ができました。
RO:
これは以前行った法務関係の仕事と変わりないです。今回は非合法な任務ですが、しかし正義のための任務なのですから…
RO:
ターゲットが都市のどこに隠れてようと、絶対に探し出してみせる!


戦闘終了


SOP:
RO!RO聞こえる?
RO:
今忙しいの!
SOP:
人間が近づいてきた。何するつもりかは分からないけど、あまりいい状況じゃ無いよ!
RO:
多分ただの野次馬よ!すぐ戻るから、時間を稼いで!
SOP:
ああ、お姉さんがもう来ちゃったよ…
女性:
あなた、ここで座ってたら駄目よ!
SOP:
え?え?うーんと…なんで?
女性:
これからここで重要な抗議デモをするからよ!
SOP:
え?抗議デモ?どうして?
女性:
政府が砂糖とたばこの配給を三ヶ月連続で減らしたからよ!
女性:
更に当局による出入国審査を簡易化すると言ってたのに、まだそれも実行されてないのよ!
SOP:
あーそう…それで、ここに座ってちゃダメかな?
女性:
そうよ、あなたもデモに参加するべきだわ!
SOP:
…わたしは抗議デモに参加するより、座ったまま電子猫と柴犬のケンカを見ていたいなぁ。
女性:
あなたも自由のために戦い…待って、あなた、人間じゃ無い…!
SOP:
わたしは…せんじゅ、イヤ違う、民生人形ダヨ?
女性:
人形?人形が人間の邪魔をするの!?早くどきなさい!
SOP:
ごめんなさい、少し待って貰えます?私の友人がまだ眠ってて…
女性:
ゴミ風情がまだしゃべるなんて!あんたの電脳はいかれてんじゃ無いの!?

女性はSOP2を張り倒そうとしたが、SOP2は反射的に女性の腕を振り払った

女性:
ああああ!私の腕が!!
SOP:
あ…折れてる、パワー調節ミスっちゃった…
女性:
ロボットに殺される!!ああ、私の手が!!救急車を早く!!!!
SOP:
あ、わたし…
RO:
何してるの!
SOP:
RO、起きてたの!?
RO:
逃げるわよ!警察がすぐ来るわ、ほら早く立って!
SOP:
だけどこの人…
RO:
このままじゃ捕まるわ、早く走るの!
SOP:
う、うん!

2分後、街角にて

RO:
数分前に意識が戻ったから、あなたがしたことを見たけど…
RO:
あなた、おとなしくしてるって言わなかった?
SOP:
ごめん…でもあの人……人によって人形をどう思ってるかは色々あるだろうけど…
RO:
ありがたいことに、わたしたちは会社から大事に扱ってもらってるわ。
SOP:
前の職場では虐待、人形破壊、それ以上の最悪なケースも見てきたわ。こんなとき、人形がどうなるか知りたい?
SOP:
うん知りたい、わたしはもっといろんなことを知りたいんだ…
RO:
あなたにその仕事は向いてないわ、犯人の頭に銃を突きつけるから、殆どの事件が迷宮入りになっちゃう。
RO:
今は指揮官とカリーナさんの為に最善をつくしましょう。この程度の仕事なら、私たちでできるんだから。
SOP:
分かった…ところで、ターゲットは見つかった?
RO:
いいえ。
SOP:
え?
RO:
見つからなかった。
RO:
カメラの記録をコピーしたけど、写真通りの人はいなかった。
SOP:
どうするの?まさか見逃したとか?
RO:
3回は確認したわ。
RO:
だけどよく考えると、このエリアにはあまり監視カメラが設置されてない。相手が偵察要員の訓練を受けていたとすれば、常にカメラを避けるのは難しいことじゃない。
RO:
こういう人は基本的に屋外で行動しないはず、移動経路を探すのは困難ね…やっぱり人形の視覚情報を地道に集めるしか無いみたい…
SOP:
えー…でも何か別の手がかりが残ってるはずだよ。
SOP:
RO、わたしにも記録を見せて。わたしも一通り確認してみる。
RO:
いいわよ。

ROは伝送ケーブルをSOP2に差し込んだ

RO:
わたしのチェックには自信があるから、あなたが何か見つけると思えないけど…
SOP:
RO、このビデオを見て!人間同士でケンカしてる!
RO:
ケンカ?この記録だと少なくとも30箇所で人が殴り合いをしてるわ。
SOP:
だけどこれは違うよ、1人のメイド相手に複数の男がナイフを持って囲んでるんだ。
RO:
強盗かしら?スラム街じゃよくあることよ。
RO:
強盗現場を映したビデオが5本、さらに盗難を撮影したビデオが12本…
SOP:
それは重要じゃ無いよ、このビデオと、他の2つのエリアのビデオを見て。
RO:
ええと、私はもう見たんだけど…
SOP:
そう?
RO:
…このメイドの痕跡が全くない…
SOP:
近くのカメラ映像も見たけど、このメイドは映ってなかったよ。こいつはカメラを避けながら移動してたんだ。
RO:
だけど強盗に遭遇したことでルートが崩れた…経路がいつもと違ったんだ。
SOP:
もう1回見てみよう。

メイドを取り囲んだ男たちが一斉にナイフを向けた
が、突如としてメイドは両手を交差させ右手でナイフを弾いた
同時にもう1人の顎を蹴り飛ばし、回転した勢いで3人目の首を肘に引っかけ、勢いをつけたまま地面に引き倒し最後に1発殴りつけた
3人はほんの一瞬で素手のメイドに倒された


SOP:
今の見た?
RO:
この動作とパワー、間違いなく違法改造された人形ね…
RO:
最高級の姿勢制御ソフトウェアと高性能ボディでなければあの動作は不可能よ。
RO:
例えグリフィンの人形でも予算の都合上、ここまで高性能なモジュールは使われてないわ。
SOP:
こいつが強盗を倒すとき、動作の速度と強さが計算し尽くされてた…わたしじゃそんなことはできないよ。
RO:
え?あなたの近接戦闘能力でも敵わないの?
SOP:
敵を細切れにすることはよくしてたけど、あいつの攻撃はとても早いし、それに強盗を傷つけてないよ。私にはこんな正確な動作はできない…
RO:
つまり、こいつは重要な手がかりということね!
SOP:
ねえ、将来グリフィンをクビになったら、2人で探偵をやろう!
RO:
え…人形でも探偵事務所を開けるのかしら?
SOP:
指揮官が裏で手を回してくれるよ!多分?
RO:
大体、なんでクビになるのが前提なの!任務はまだ終わってないんだからね!
SOP:
分かった分かった、それで次は何をしよう?
RO:
外見さえ分かれば簡単よ。メイドはカメラを避けられても人形の視線は避けられないから。
RO:
視覚情報を精査していけば行動過程を特定できる。彼女の目的地も見つけられるはずよ。
RO:
次はカメラ近くの人形の視覚情報を1つずつ調べましょう
SOP:
うへー、また1つ1つ調べるのか…
RO:
SOP2、仕事をしましょうね~
SOP:
あぁ、どうやっても最後にはこの作業をしなきゃなんだね…


11-2 終